企業物価指数(国内・輸出・輸入)と消費者物価指数は何が違うか — 『川上の物価』の読み方(2026年8月の数値つき)
企業物価指数は企業間で取引される財の価格で、サービスは含まず、家計が買う財・サービスを小売段階で測る消費者物価指数とは対象も調査段階も違う。輸出入物価には為替を含む円ベースと含まない契約通貨ベースがある。2026年8月は国内企業物価が前年比7.6%、輸入物価(円ベース)24.8%、全国消費者物価(総合)は1.9%。
数字 — 2026年8月の企業物価指数と消費者物価指数
時点:2026年8月。企業物価指数(8月速報)は2026年9月11日、全国消費者物価指数(8月分)は9月18日公表。一次資料:企業物価指数(2026年8月速報、出典1)、消費者物価指数 全国 2026年8月分 結果の概要(出典6)。9月分の企業物価指数は10月13日公表予定のため、ここでは7月→8月を比べる。[1][6]
| 指標 | 前期:2026年7月 | 今期:2026年8月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 国内企業物価指数 前年比 | 7.7% | 7.6% | ▲0.1%ポイント |
| 国内企業物価指数 前月比 | 0.4% | ▲0.2% | ▲0.6%ポイント |
| 輸出物価指数(円ベース)前年比 | 19.3% | 17.9% | ▲1.4%ポイント |
| 輸出物価指数(契約通貨ベース)前年比 | 10.4% | 11.1% | +0.7%ポイント |
| 輸入物価指数(円ベース)前年比 | 29.3% | 24.8% | ▲4.5%ポイント |
| 輸入物価指数(契約通貨ベース)前年比 | 17.8% | 16.7% | ▲1.1%ポイント |
| (参考)為替相場(ドル/円)前月比 | 1.1% | ▲2.4% | ▲3.5%ポイント |
| (比較)全国消費者物価指数 総合 前年同月比 | 1.9% | 1.9% | 0.0 |
・国内企業物価指数は前年比7.6%、前月比は▲0.2%。 ・輸入物価指数は円ベースで前年比24.8%、契約通貨ベースで16.7%。 ・全国消費者物価指数(総合)は1.9%で、対象範囲が違う指標どうし。[1][6]
表の読み方:企業物価の7月値は8月速報の資料に載る訂正後の値、消費者物価は出典6による。数値はいずれも公表値で、「変化」はその差を本ページが計算した。為替相場は符号がマイナスの場合、円高を示す。[1][2]
用語:「企業物価指数は、企業間で取引される財の価格変動を測定するものである。」 円ベースと契約通貨ベースについて、日本銀行は「円ベースの指数は、本邦企業が直面する物価指数であるが、契約通貨が外貨建ての価格については円換算されるため、為替変動の影響を大きく受ける。」「一方、契約通貨ベースの指数は、為替変動を除くことができるため、国内企業の海外における短期の価格設定行動の変化(為替変動に伴う価格転嫁等)を把握することができる。」としている(輸出物価指数の説明。輸入物価指数についても、円ベースは円換算を行うため為替変動の影響を大きく受け、契約通貨ベースは為替変動の影響を除くことができるとしている)。[3][4]
対象範囲の違い — 財かサービスか、どの段階か
| 企業物価指数(国内) | 輸出・輸入物価指数 | 消費者物価指数 | |
|---|---|---|---|
| 作成者 | 日本銀行 | 日本銀行 | 総務省統計局 |
| 対象範囲 | 国内で生産した国内需要家向けの財 | 輸出入品(財) | 家計が購入する財・サービス |
| 価格調査段階 | 生産者段階 | 通関段階 | 小売段階 |
表の読み方:日本銀行のFAQの比較表を本ページが要約した。企業物価指数はサービスを含まず、企業間で取引されるサービスは企業向けサービス価格指数が対象とする。日本銀行は「これらの各指数は企業物価指数とは指数作成方法などが異なるため、対象範囲など、各指数の定義を確認した上で、利用ニーズに合わせ、使い分けることが必要です。」としている。[4][5]
国内企業物価指数は生産者物価指数に概ね相当し、出版物等のサービス、中古品、廃棄物などは対象範囲から除外されている。[3]
円ベースと契約通貨ベース — 為替の効果
輸入物価指数は原則として通関段階の入着時点のCIF価格を調べ、「輸入物価指数は、資源価格や為替レートの変動等に伴うわが国における輸入インフレ圧力を測ることができる。」[3]
円換算には銀行の対顧客電信直物相場(仲値)の月間平均値を使う。日本銀行は、「したがって、その月に取引がなく、外貨建て価格(指数)が横這いの時でも、為替相場が変化すれば、円建て価格(指数)は変動するため」、利用の際に認識するよう求めている。[4]
8月の輸入物価指数は契約通貨ベースで前月比▲1.0%、円ベースで▲3.0%。ドル/円は前月比▲2.4%(円高)だった。[1]
『川上の物価』と重複カウント
日本銀行のFAQによると、企業物価指数の総平均指数は需要段階の異なる品目をグロス取引額で加重平均するため、「生産フローの川上ステージの価格変動の影響を過大評価してしまうという問題(重複カウント問題)を抱えています。」 このため、最終需要・中間需要物価指数(FD–ID指数)を併せて利用することが望ましいとしている。[4]
本ページの題にある『川上の物価』は、企業間取引の段階の価格というゆるい比喩である。国内企業物価指数の価格の大半は生産者段階で調査されており、FAQがいう生産フローの川上ステージ(重複カウントの文脈)と同じ意味ではない。[3][4]
速報と訂正 — 7月分の値
| 2026年7月の値 | 7月速報(8月13日) | 8月速報の資料(9月11日、訂正値) | 差 |
|---|---|---|---|
| 国内企業物価指数 前月比 | 0.1% | 0.4% | +0.3%ポイント |
| 国内企業物価指数 前年比 | 7.2% | 7.7% | +0.5%ポイント |
| 輸出物価指数(円ベース)前年比 | 18.9% | 19.3% | +0.4%ポイント |
| 輸出物価指数(契約通貨ベース)前年比 | 10.1% | 10.4% | +0.3%ポイント |
| 輸入物価指数(円ベース)前年比 | 29.1% | 29.3% | +0.2%ポイント |
| 輸入物価指数(契約通貨ベース)前年比 | 17.7% | 17.8% | +0.1%ポイント |
表の読み方:7月の値は7月速報と8月速報の資料(訂正値)で異なる。差は本ページの計算。8月速報の公表時は定期遡及訂正を行う月に当たる。[1][5]
対にして読む — 企業物価と消費者物価、円ベースと契約通貨ベース
企業物価と消費者物価:8月は国内企業物価指数7.6%、全国消費者物価指数(総合)1.9%。財だけを主に生産者段階で測る指数と、財・サービスを小売段階で測る指数で、両者の差をそのまま同一対象の価格差や価格転嫁率とは解釈しない(本ページの読み)。[1][6]
円ベースと契約通貨ベース:8月の輸入物価指数は円ベース24.8%、契約通貨ベース16.7%。差には為替変動の影響が含まれ得るが、差そのものは厳密な為替寄与ではない(本ページの読み)。[1]
前年比と前月比:国内企業物価指数は前年比7.6%だが、前月比は▲0.2%。[1]
本ページの読み
企業物価指数を見るときは、国内・輸出・輸入のどれか、円ベースか契約通貨ベースか、前年比か前月比かを確かめる必要がある。消費者物価指数とは対象と調査段階が異なり、今回確認した日本銀行の解説・FAQには両指数の定量的な先行関係を示す記述は見当たらなかった。したがって、企業物価の動きを消費者物価の先行きとして一対一で読み替えないと本ページは読む。[1][3][4][6]
次の公表
企業物価指数(9月)は2026年10月13日(火)8時50分に公表予定(日本銀行の公表予定、2026年10月9日更新)。[1][7]
確認済みの事実
各事実に根拠の種類を表示このセクションの各事実には根拠の種類が表示されます——独立した情報源でのクロス検証、または一次資料単独での確認。
企業物価指数は企業間で取引される財の価格変動を測定するもので、その基本分類指数は国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数からなる(基本分類指数と参考指数を合わせたものが企業物価指数)。国内企業物価指数は生産者物価指数に概ね相当し、2020年基準では生産者段階の価格の比率(ウエイトベース)が95%、残る5%は主として卸売段階で調査されている。出版物等のサービス、中古品、廃棄物などは対象範囲から除外されている。[3] 1 源 · 一次資料
日本銀行は、企業間で取引される財を対象とする企業物価指数と、企業間で取引されるサービスを対象とする企業向けサービス価格指数を作成している。消費者物価指数は総務省統計局が作成し、消費者が購入する財・サービスを対象とする。[5] 1 源 · 一次資料
日本銀行のFAQの比較表では、国内企業物価指数の対象は国内で生産した国内需要家向けの財で価格調査段階は生産者段階、輸出・輸入物価指数は輸出入品(財)で通関段階、消費者物価指数は家計が購入する財・サービスで小売段階とされている。日本銀行は、各指数は作成方法などが異なるため定義を確認したうえで使い分ける必要があるとしている。[4] 1 源 · 一次資料
輸出物価指数は原則として通関段階の船積み時点のFOB価格、輸入物価指数は原則として通関段階の入着時点のCIF価格を調査する(輸入物価指数で設定されている貿易取引条件はCIFが38%、FOBが31%、CFRが11%とばらつきがある)。いずれもいずれも円ベースと契約通貨ベースの指数を作成している。円ベースは外貨建て価格を円換算するため為替変動の影響を大きく受け、契約通貨ベースは為替変動の影響を除くことができる。[3] 1 源 · 一次資料
円ベースの指数は、外貨建て契約の価格を銀行の対顧客電信直物相場(仲値)の月間平均値で円換算して作成する。その月に取引がなく外貨建て価格が横ばいでも、為替相場が変化すれば円建て価格は変動する。[4] 1 源 · 一次資料
2026年8月速報(9月11日)では、国内企業物価指数は前月比▲0.2%(前年比+7.6%)。輸出物価指数は契約通貨ベースで前月比+0.6%、円ベースで▲0.7%(前年比+17.9%、契約通貨ベースの前年比は11.1%)。輸入物価指数は契約通貨ベースで前月比▲1.0%、円ベースで▲3.0%(前年比+24.8%、契約通貨ベースの前年比は16.7%)。ドル/円の為替相場は前月比▲2.4%(円高)。[1] 1 源 · 一次資料
8月速報の資料では、7月の国内企業物価指数は前月比0.4%・前年比7.7%、輸出物価指数(円ベース)の前年比19.3%、輸入物価指数(円ベース)の前年比29.3%(いずれも訂正値)。7月速報(8月13日)ではそれぞれ0.1%、7.2%、18.9%、29.1%だった。[1][2] 1 源 · 一次資料
全国消費者物価指数(総合)の前年同月比は、2026年7月1.9%、8月1.9%(9月18日公表)。[6] 1 源 · 一次資料
企業物価指数の速報は原則として翌月第8営業日に公表し、定期遡及訂正を行う9月(8月速報公表時)は第9営業日。次回(9月分)は2026年10月13日(火)8時50分に公表予定。[1][3][5][7] 1 源 · 一次資料
日本銀行のFAQは、企業物価指数の総平均指数について、需要段階の異なる品目をグロス取引額のウエイトで加重平均する結果、生産フローの川上ステージの価格変動の影響を過大評価してしまう問題(重複カウント問題)があるとし、最終需要・中間需要物価指数(FD–ID指数)の併用が望ましいとしている。[4] 1 源 · 一次資料
主張・解釈
事実に数えない記述 — 種類を項目ごとに表示ここからはクロス検証されていない主張・推測の領域です。
7月から8月の変化は、国内企業物価指数の前年比が▲0.1%ポイント、前月比が▲0.6%ポイント、輸入物価指数(円ベース)の前年比が▲4.5%ポイント、(契約通貨ベース)が▲1.1%ポイント、輸出物価指数(円ベース)が▲1.4%ポイント、(契約通貨ベース)が+0.7%ポイント。全国消費者物価指数(総合)は1.9%で変わらない。[1][6] このページの計算・解釈 · 本ページの計算
輸入物価指数の円ベースと契約通貨ベースの前年比の差は、7月11.5%ポイント、8月8.1%ポイント。輸出物価指数では7月8.9%ポイント、8月6.8%ポイント。8月に差が縮んだのは、ドル/円が前月比▲2.4%と円高になった時期と重なると本ページは読む。差は為替の影響の目安で、厳密な要因分解ではない。[1] このページの計算・解釈 · 本ページの計算
国内企業物価指数(前年比7.6%)と全国消費者物価指数(総合、1.9%)は、対象(財のみか、財・サービスか)と価格調査段階(生産者段階か小売段階か)が違うため、両者の差を、そのまま同一対象の価格差や価格転嫁率とは解釈できないと本ページは読む。[1][4][6] このページの計算・解釈 · 本ページの読み
今回確認したFAQ(出典4・5)および解説(出典3)には、両指数の定量的な先行関係を示す記述は見当たらない。したがって、ここに示した数値だけから一対一の波及を推定しないと本ページは読む。[3][4][5] このページの計算・解釈 · 本ページの読み
タイムライン
確認できなかったこと
このページが確かめようとして確かめられなかった事柄である。空白は推測で埋めない。- 2026年9月の企業物価指数
- 企業物価指数の動きが消費者物価指数に波及する時期と程度
- モデル
- claude-opus-5
- 日時
- 10/11/2026, 14:00
- 本文文字数
- 2,950
- 出典
- 採用した出典 7 件
- モデル
- ChatGPT(ウェブで出典を照合)
- 日時
- 10/11/2026, 14:00
- 判定
- 要修正
改訂履歴を表示(3件)
| 10/11/2026, 09:00 | 初版執筆(claude-opus-5) | 作成 |
| 10/11/2026 | 初版。日本銀行の企業物価指数(2026年8月・7月速報)、「2020年基準 企業物価指数の解説」、物価指数のFAQ、公表予定(2026年10月9日更新)と、総務省統計局の消費者物価指数 全国 2026年8月分 結果の概要をもとに作成した。変化幅と円ベース・契約通貨ベースの差は本ページの計算。 | 更新 |
| 10/11/2026 | 出典の記載に合わせて修正。基本分類指数の説明、輸出入物価の価格条件と生産者段階の比率を補い、消費者物価との差や先行関係、円ベースと契約通貨ベースの差についての記述を本ページの読みとして整理した。 | 更新 |
よくある質問
2026年8月の企業物価指数はどうでしたか。
国内企業物価指数は前年比7.6%、前月比▲0.2%でした(9月11日速報)。輸入物価指数は円ベースで前年比24.8%です。[1]
企業物価指数と消費者物価指数は何が違いますか。
企業物価指数は企業間で取引される財を生産者段階や通関段階で、消費者物価指数は家計が購入する財・サービスを小売段階で調べます。8月は国内企業物価指数7.6%、消費者物価指数(総合)1.9%でした。[1][3][4][6]
円ベースと契約通貨ベースは何が違いますか。
円ベースは外貨建て価格を円換算するため為替の影響を大きく受け、契約通貨ベースは為替の影響を除けます。8月の輸入物価指数は円ベース24.8%、契約通貨ベース16.7%です。[1][3]
公式リンク
出典
- [1] 企業物価指数(2026年8月速報) 一次資料
- [2] 企業物価指数(2026年7月速報) 一次資料
- [3] 2020年基準 企業物価指数の解説 一次資料
- [4] 物価指数のFAQ — 企業物価指数(2020年基準) 一次資料
- [5] 物価指数のFAQ — 物価指数全般 一次資料
- [6] 2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)8月分 結果の概要 一次資料
- [7] 公表予定(2026年10月9日更新) 一次資料